日本政府が2/15(水)に開いた「新しい資本主義実現会議」において、岸田文雄首相が「労働移動を円滑化するため、自己都合で離職した場合の失業給付のあり方の見直しを行う」ことを述べたと、朝日新聞が報じている。
朝日新聞デジタル「失業給付の受け取り、2カ月から短縮を検討 首相明言、転職を後押し」
また、TBS NEWA DIGにおいても、岸田首相が同日に「日本企業と海外企業の賃金格差の解消を目指すため、求人情報を官民で共有し、自己都合で職を離れた場合の失業給付のあり方の見直しを行うと表明した」としており、ご本人の発言として以下を掲載した。
>岸田総理の発言より
「賃上げは新しい資本主義の最重要課題です。構造的な賃上げを実現し、同じ職務であるにもかかわらず、日本企業と海外企業の間に存在する賃金格差の解消を目指します」
この2つのテーマ、「自己都合で離職した場合の失業給付のあり方の見直し」「海外企業との賃金格差の是正」はそれぞれ、人材業界にどのような影響を及ぼすだろうか。
「自己都合退職時の失業給付早期化」による転職意向の後押し効果
これまで日本では、自己都合の退職の場合に失業給付を受けるまで2カ月庁の制限期間が設けられていた。
解雇や倒産など会社の都合による失業と同程度の保護が必要だと国が認めるにあたり、勤め先を辞めてから一定の期間にわたり失業が続いている必要があるとの考えからだった。
ただ、こういった施策は反動的に雇用の流動化を阻害し、新産業への労働移動の足かせとなることも事実。
以前から指摘されてきたこの問題にメスが入ることになれば、転職意向の高いビジネスマンの背中を押す一手となるに違いない。
おそらく、モラルハザードを防ぐために一定期間以上の現職での勤続年数や、トータルでの給付回数の制限などが設けられると想定される。
ただ、全体としては転職サイクルの短期化が予想され、人材紹介の市場全体のパイ増加が見込まれるのではないか。
「海外企業との賃金格差是正」は外資企業からの人材揺り戻しを促進
直近、ユニクロや三井住友銀行といった日本の大手企業・銀行などが新卒初任給を大幅にアップさせる施策を発表。国内に衝撃を与えた。
「三井住友銀行 新卒初任給“5万円↑” 背景に…業界超えた激しい“人材争奪戦”」
これに続く形での海外企業との賃金格差是正。これまでのニュースが新卒向けとすれば、今回のニュースは既存社員向けの朗報。
どういった形で政策が実施されるか未知数な部分もあるが、少なくとも社会全体に大きなインパクトを与える動きになるに違いない。
発言の裏にある狙いはいくつか考えられるが、わかりやすいのは「海外に流出した国内人材の揺り戻し」だ。
現代ではSNSの影響もあり国境を越えた人材獲得戦争は日常茶飯事。
能力のある若者は、海外の高給な求人を探して転職も用意になっており、横並び賃金の国内企業は魅力に乏しくなってしまっている現状がある。
東洋経済ONLINE「辞める若者は「給料横並び」にウンザリしている」
こういった現状に対する一手として、政府・民間が連携した動きが実現すれば、必然的に現在海外へ流出してしまっている人材の国内回帰の動きは加速する。
当然、人材紹介事業の活性化にも繋がるということになる。
ターニングポイントは「6月」。3カ月で可能な対応とは
これらはまだ方針見直しの発表がなされただけの段階。ただし、明確に「今年6月までに労働移動の円滑化に向けた指針を取りまとめる」と期限を区切っているあたりには期待が持てる。
このタイミングですぐに市場が動くかどうかは未知数ながら、企業としては諸々考えられる変動に対して備えたいところだ。
人材紹介企業が早めに着手したいポイント
- 急激な求職者共有の増減への対応
- 海外人材を受け入れる求人の準備
後者はわかりやすいが、前者も以外に重要になってくると想定される。なぜならこのニュースが出ることで、政策発表まで転職を延期する層が一定現れると想定されるからである。
従来であれば、自己都合退職をした場合は失業給付が出るまでに2カ月のタイムラグが発生するため、あえて給付を受け取るまで待つ人はそう多くなかったかもしれない。
しかし、発表通りに制度が変更されるとすれば、これは転職予備軍にとってはかなり大きい変化だ。
何が何でも今すぐ転職したい人はともかく、転職意向がそこまで高くない層からすれば、給付金目当てで正式な発表まで転職を延期するケースも出てくるだろう。
つまり、この前後で転職市場の求職者供給が大幅に増減する可能性が考えられるのだが、こうなった場合一番気にかかるのは求職者管理に使われるCRM。
とくにエクセル・スプレッドシートなどで簡易的に求職者を管理している場合、急激な増加に対応できない可能性がある。
ビジネスチャンスを逃さないためにも、とくに起業前後・少数精鋭で経営されている企業などでは、ぜひVINCERE コアの導入をご検討いただきたい。
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