ChatGPTが2023年に登場して以降、生成AIの技術を筆頭にグローバルでは人材紹介業務の自動化が急ピッチで進んでいます。これには、AI、機械学習、RPAなどのテクノロジーを活用した様々な取り組みが含まれますが、まだ日本の人材紹介業界で十分に広まっているとはいえない状態です。
SaaSの分野ではとくにそうですが、ITサービスの活用やDXにおいて日本マーケットは欧米に比較して3年遅れていると言われており、人材紹介という労働集約かつ属人化しやすい業界であればその傾向はなおさら強いものです。その証拠に、海外ではたとえば主な候補者集客の媒体であるLinkedIn・Indeedなど主要なプラットフォームは各社CRM、ATSと連携したツールが一般的に利用されていますが、日本ではそのようになっていない現状があります。
わかりやすい所でいえばビズリーチや、HRMOSをはじめとした各種ATSなど、候補者集客に必須のツールにおいて外部連携に必須のAPI連携が公開されていない点がその好例です。多くの原因が指摘されていますが、ITエンジニアリングに関する意識の差や日本型雇用などの歴史的な背景が現在のような状況を生み出しているのではないでしょうか。
とはいえ、生成AI系サービスの開発が今後も進むことは確実であり、日本にもいずれ最新テクノロジーの波はやってくるでしょう。周囲に足並みを揃えて自動化のことを考え始めるのでは遅く、またビジネスチャンスを逃しているともいえます。今回は日本マーケットの他企業に先んじて業務の自動化に取り組めるよう、欧米でよく導入されている自動化・オートメーションのジャンルについて、いくつか具体的な例をあげて説明します。
1. レジュメ解析(履歴書・職務経歴書)とマッチング
レジュメ解析ツールは、候補者の履歴書をスキャンし、キーワードやスキル、職歴、資格などの情報を自動的に抽出する技術です。たとえば、AIを活用したレジュメ解析システムは、数百枚もの履歴書を数秒で処理し、特定の職務要件に最も適した候補者を迅速に特定します。これは、従来の人事担当者が手動で行っていたスクリーニング作業を大幅に効率化し、時間とコストを削減する効果があります。
Vincereでは人材領域に特化したグローバルなソフトウェア企業であるDaxtra社の履歴書読み込み機能を標準搭載しており、履歴書を読み込ませるだけで、スキルや職歴などの重要な情報を自動で抽出し、適切な項目に自動で登録してくれます。対応言語には日本語も含みますので、弊社サービスを介して安全・便利にお使いいただくことが可能です。
Daxtra Japan公式HP: https://www.daxtra.co.jp/
2. チャットボットによる候補者とのコミュニケーション
チャットボットは、候補者との初期のやり取りを自動化するために広く利用されています。これらのボットは、ウェブサイトやソーシャルメディアプラットフォーム上で、24時間対応で候補者からの質問に答えたり、面接の日程を調整したりすることが可能です。チャットボットは、自然言語処理(NLP)を利用して、候補者の質問を理解し、的確な回答を提供します。
さらに、チャットボットは、候補者のエンゲージメントを維持する役割も果たします。例えば、候補者が応募を完了する前に離脱しそうな場合、チャットボットはリマインダーやフォローアップメッセージを自動的に送信し、応募プロセスの完了を促します。このような自動化により、リクルーターは本来の業務である候補者との関係構築や選考プロセスの最終段階に集中できるようになります。
Vincereの関連会社であり、Vincereとも標準で連携しているElayは、チャットボットの自動応答に対応しています。それだけではなく、メール送信の自動化や、指定のタイミングでのデータの出力など、様々な自動化を作成することが可能です。
Elay公式HP:https://elay.io/
3. 面接日程の自動スケジューリングとフォローアップ
面接のスケジューリングは、従来の手動プロセスでは多くの時間を要する作業でしたが、現在ではAIツールや自動化ツールを活用することで効率化されています。たとえば、候補者と採用担当者の双方のスケジュールをリアルタイムで確認し、最適な面接日時を自動的に提案するツールが存在します。これにより、時間の無駄が減り、候補者体験の向上にもつながっています。
また、面接後のフォローアップも自動化されています。RPAを活用して、面接後のフィードバック収集や、次のステップに進む候補者への通知を自動的に行うことで、人事担当者の負担を軽減します。このようなツールは、候補者に対して迅速なフィードバックを提供するための手段としても機能します。
Vincereの標準機能であるライブリストでは、候補者と採用担当者のスケジュールをシームレスに調整することが可能です。
4. エンゲージメントのパーソナライゼーション
AIと機械学習を活用して、候補者のエンゲージメントをより個別化する取り組みも進んでいます。例えば、候補者の履歴書データ、応募履歴、閲覧履歴などを基に、パーソナライズされた求人情報やキャリアアドバイスを提供するプラットフォームが登場しています。これにより、候補者一人ひとりに合わせた最適な情報提供が可能となり、候補者の興味を引きつけることができます。
また、定期的なメールや通知を通じて、候補者に新しい求人情報や会社の最新情報を提供することも一般的です。これらのプロセスは、完全に自動化されており、特定のタイミングで特定の候補者に合わせてカスタマイズされたメッセージを送信する仕組みが構築されています。
5. 採用データの分析と予測
AIを用いたデータ分析ツールは、採用プロセス全体の効率を向上させるために使用されています。例えば、どの求人媒体が最も効果的か、どのようなスキルセットが市場で求められているか、どのような要因が採用成功につながるかといった情報を分析することが可能です。このようなデータに基づくインサイトは、リクルーターがより戦略的な意思決定を行うための助けとなります。
さらに、AIモデルを使用して、未来の人材需要を予測したり、潜在的な離職者を予測したりすることも可能です。これにより、企業は事前に採用計画を立てることができ、迅速に人材不足に対応するための準備ができます。
6. コンプライアンスとリスク管理
自動化ツールは、コンプライアンスとリスク管理の面でも重要な役割を果たしています。たとえば、応募者の情報が法律に従って正しく収集・保存されているかを確認するための自動チェック機能や、労働法に基づく規定を遵守するためのリスクアセスメントツールが活用されています。これにより、企業は法的リスクを最小限に抑えつつ、効率的な人材採用活動を展開することができます。
まとめ
欧米の人材紹介業界における自動化の進展は、AI、機械学習、RPAなどの技術を活用して、採用プロセス全体の効率を向上させています。これにより、人事担当者はより戦略的な役割を担うことが可能となり、候補者体験も向上しています。
特に、レジュメ解析やチャットボットの導入、面接のスケジューリングとフォローアップの自動化、エンゲージメントのパーソナライゼーション、データ分析と予測、コンプライアンス管理など、多岐にわたる自動化の事例が見られます。日本でもこれらの技術の導入により、より迅速で効果的な候補者集客活動を展開し、競争力を維持することは早晩求められるでしょう。自動化・DXの遅れが叫ばれる日本だからこそ、常に一歩先の視点からトレンドを捉えることでより多くのビジネスチャンスを掴むことができると考えています。
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